どこから行っても遠い町
どこから行っても遠い町 by 川上 弘美My rating: 4 of 5 stars
あるのかないのか分からない、ただゆるく連なった町をめぐる短編集。最後の方までそう思い込んでいた。川上弘美らしい言葉の選び具合、うん、悪くない。そんな初めの印象は見事にくつがえされた。
最初の印象はこんな感じだ。主人公が毎回違ううえに、物語の中心として焦点を結ぼうとするには、どうにも印象に残らない町である。商店街には昔ながらの個人商店も残っているし、そこで買い物をする客もいる。ただ、それだけ。どこか住みたくなるような魅力もなければ、一度は訪れてみたくなるような磁力もない。確かに、これはどこから行っても遠い町なのかもしれない。
そう結論づけようとして、まんまといっぱい食わされた。タイトルのつけ方といい、話しのもっていきかたがうまい。そういえば、川上弘美の書く小説はいつもおいしそうである。おもわず食べたくなるようなたこ焼きなんだな。そういう小物類の使い方が上手いな、なんて読んでいると、最後にきて短編と短編の間にある物語の焦点が見えて思わず愕然となる。なるほど全然、読んでなかった。人と人が生きて関係を形作ること、その見え方にこういう形があるんだと思わず気づかされる。気がついてみれば、その場で思わず再読している自分がいる。
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